紛争の現状

大きな戦争はほぼできなくなった。次は小さな戦争をできなくする番だ。

第二次世界大戦のあと、平和と人権と秩序を求めて国連が発足し、冷戦が終結し、ベルリンの壁が崩れ、国家間の紛争を裁判によって解決する国際司法裁判所ができ、個人の戦犯を裁く国際刑事裁判所ができ、大量破壊兵器の使用と民間人への巻き添え二次被害が人権侵害となった今、大きな戦争の開始は人類の存続と持続可能性に対する罪となり、戦争は非合法化されつつある、といえる。
戦犯になりたくない国家元首たちは戦争を回避し、話し合いによる解決に務めるようになった。
けれど自然環境の劣化、生物資源と鉱物資源の急激な減少と偏りが、新たな経済不安、貧困格差と人権侵害、つまり新たな紛争の火種を生んでいる。
紛争の質も変化した。1994年に起こったルワンダの大虐殺では大量破壊兵器は使用されていない。ラジオという原始的なメディアに煽られ、ナタという原始的な生活用品を武器として振りかざす隣人に、100日間で少なくとも80万人が殺された。当時人口1000万人弱の国だったルワンダにとっては10人に1人。犠牲者の数はユダヤのホロコースト虐殺者の3倍。
紛争を根本から絶つには、生態系の貧困化、人間社会の貧困格差、人権の侵害の3つに適切な措置を施し、十分に豊かな自然生態系の中で人間が安心して暮らせる豊かな社会を作って行かなければならない。
「軍備」というより「人間の安全保障」という観点から、「国益」だけではなく同時に「世界益」という観点から、世界は地域紛争という小さな戦争の新たな脅威に対処する和平システムの構築を迫られている。

1989年から2007年までの18年間に紛争していた国は89カ国。(出典:ウプサラ大コンフリクトデータプログラム)

紛争の定義は「少なくとも一方は国家政府である二つの勢力間で武力使用を伴う、25人以上の死者を出している、政府や領土に関する不一致のための争いのこと」。

1989年から2007年までの18年間に紛争していた国は89カ国。2007年度に紛争していた国は31カ国。決して激減とは言えないが、58カ国が、2007年までの18年間に紛争の火を小さくすることに成功したと言える。このスピードを維持することができれば、2017年までに人類は戦争を卒業することができる。(出典:ウプサラ大コンフリクトデータプログラム)

紛争の定義は「少なくとも一方は国家政府である二つの勢力間で武力使用を伴う、25人以上の死者を出している、政府や領土に関する不一致のための争いのこと」。

紛争の質が変化した。

【参考文献】

・Uppsala Conflict Data Program (Date of retrieval: 09/10/9) UCDP Database: www.ucdp.uu.se/database, Uppsala University
?・c2008 http://www.pcr.uu.se/research/UCDP/graphs/charts_and_graphs.htm
・SIPRI YEARBOOK 2007 Armaments, Disarmaments and International Security, Oxford
・SIPRI YEARBOOK 2005 Armaments, Disarmaments and International Security, Oxford
・Oliver Ramsbotham, Tom Woodhouse, Hugh Miall ‘Contemporary Conflict Resolution Second Edition’ Polity (2005)
・大芝亮、藤原帰一、山田哲也編「平和政策」有斐閣ブックス(2006)
・ジョセフ・S・ナイ・ジュニア「国際紛争 理論と歴史」有斐閣(2009)

続きを読む

pagetop